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亜字型華瓶(けびょう)

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花瓶(かびん)と華瓶(けびょう)

「かひん」の方は、口が大きく多くの花を供えるのに適していると言うことですから、「けびょう」は1本もしくは数本の花を供える仏具ということになります。

『望月仏教大辞典』の「華瓶(けびょう)」の説明をみてみますと、「華を挿し供に充つる器にして、其の形、羯羅舎(kalasa)に似て、腹大に口狭し。又別に口大にして觚(こ…中国古代儀式に用いられた大型の酒器)の如く、雜華を立つるに適するものあり。特に之を華瓶(かひん)と呼べり。元と同物なれども、其の形を異にするが故に発音に不同あるなり。」とあります。元来、華瓶は華(花)をお供えする仏具なのですが、其の形の違いから「けびょう」と「かひん」の呼称の違いがあるということです。しかも「かひん」の方は、口が大きく多くの花を供えるのに適していると言うことですから、「けびょう」は1本もしくは数本の花を供える仏具ということになります。

江戸時代に著された『真宗故実伝来鈔』の「仏前上卓荘り様の事」には、「花瓶(「けびょう」を示す)は必 樒(しきみ)なり、総して仏家に樒を用いること、先は日本の香木なれはなり、~略~ 仏前に樒を備ることは、西天(インド)には専ら青蓮華を用ゆ、此樒の葉の並ひたる形 青蓮華に似たり、樒の葉を葉といわす華と称する也」とあります。樒は香木であると言うこと、そしてインドでは専ら青蓮華をお供えしていたが、日本では青蓮華はたやすく手に入らないので、その葉の並びが青蓮華に似ている樒(しきみ)を仏前にお供えしたということになります。ちなみに、青蓮華は一般仏教では最上の花と考えられています。

華瓶(けびょう)は、花をお供えする仏具でした。しかも花瓶(かひん)は、一般的な花をお供えしますが、華瓶(けびょう)は特別な花、つまり香木であり青蓮華の代わりとなるもの、つまり他の尊前とは違い阿弥陀如来の尊前には、最上の花をお供えしていたということになります。私たちは樒(しきみ)をお供えするとき、ややもすると最上の花をお供えしているという思いが疎かになっているかも知れません。

青蓮華
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樒(しきみ)
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by mantaiya | 2021-04-30 07:05 | | Comments(2)
Commented by 国七 at 2021-07-15 21:44 x
良い勉強になりました、ありがとうございます。
Commented by mantaiya at 2021-07-16 07:13
私も仏花は勉強途中です。「込み藁」を覚えると良いですよ。


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