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歴史的仮名遣い

現代仮名遣いへの批判[編集]

第二次大戦後に行われた国語改革に対しては、批評家・劇作家の福田恆存が1960年(昭和35年)に『私の國語教室』を書き、現代仮名遣いに論理的な矛盾があると主張し批判を行った。現代仮名遣いは表音的であるとするが、一部歴史的仮名遣を継承し、完全に発音通りであるわけではない。助詞の「は」「へ」「を」を発音通りに「わ」「え」「お」と書かないのは歴史的仮名遣を部分的にそのまま踏襲したものであるし、「え」「お」を伸ばした音の表記は歴史的仮名遣の規則に準じて定められたものである。

また福田は「現代かなづかい」の制定過程や国語審議会の体制に問題があると指摘した。その後、国語審議会から「表意主義者」4名が脱退する騒動が勃発し、表音主義者中心の体制が改められることとなった。1986年(昭和61年)に内閣から告示された「現代仮名遣い」では「歴史的仮名遣いは、我が国歴史文化に深いかかわりをもつものとして尊重されるべき」(「序文」)であると書かれるようになった。

歴史的仮名遣の現在[編集]

「現代かなづかい」は戦後速やかに定着し、1970年代以降は公的文書、一般出版物、新聞はもとより、私的な小説や詩に至るまで、ほとんどの活字が「現代かなづかい」で書かれるようになっている。しかし現行の「現代仮名遣い」の見直しを含む国語改革と歴史的仮名遣の復権を主張する者は今も残る。作家では石川淳阿川弘之福田恆存丸谷才一大岡信高森明勅等、学者では小堀桂一郎中村粲長谷川三千子等がそれであり、井上ひさし[3]山崎正和にも歴史的仮名遣によって発表された著作があり、神社新報社が発行している神社新報現代仮名遣いを「文法的に考えて欠陥が多い」として現在も歴史的仮名遣で発行されている[4]

コンピュータで文章を書く習慣が定着し始めた当初は、すべてのインプットメソッドが現代仮名遣いを当然の前提としていたことから、歴史的仮名遣で文章を書くことの困難は避けられなかった。しかしその後、歴史的仮名遣を扱うインプットメソッド(『契冲』や『ATOK』文語モード)が出現し、さらには圧倒的なシェアを持つMS-IMEやOSを問わず使用可能なGoogle 日本語入力向けにフリーの変換辞書(『快適仮名遣ひ』)が提供されるに及んで、字音仮名遣を除く一般的な歴史的仮名遣の文章入力は比較的手軽なものとなり、その結果現在ではインターネット上の一部で歴史的仮名遣が根強く浸透し続けている状況にある。

なお、現代仮名遣いは原則として口語文についてのみ使用され、古典文化には干渉しないとしたことにより、文語文法によって作品を書く俳句短歌の世界においては歴史的仮名遣も一般的である。また固有名詞においては、現代でも以下のように歴史的仮名遣が使用されている場合がある。

明治以降[編集]

明治時代になって公教育では、上で述べた契沖以来の国学の流れを汲む仮名遣を採用した。これが歴史的仮名遣と呼ばれるものである。歴史的仮名遣とは契沖仮名遣と字音仮名遣であった。

明治維新前後以来、国語の簡易化が表音主義者によって何度も主張された。それらは漢字を廃止してアルファベットローマ字)や仮名のみを使用するもので、中には日本語の代わりにフランス語の採用を主張するものもあった。表記と発音とのずれが大き過ぎる歴史的仮名遣の学習は非効率的である、表音的仮名遣を採用することで国語教育にかける時間を短縮し、他の学科の教育を充実させるべきであると表音主義者は主張した。これに対して森鴎外(彼は陸軍省の意向も代弁した)や芥川龍之介といった文学者、山田孝雄ら国語学者の反対があった。このように民間からの強い批判を背景として、1900年のいわゆる「棒引仮名遣い」はあまり広まらないまま廃止された。また、国語調査会の仮名遣改定案(1924)も強い反対意見に遭って公布には至らなかった。その後新たに設置された国語調査会によって1942年に「新字音仮名遣表」が発表されたものの、これも戦時下のため行われなかった。

昭和21年(1946年)、連合国軍最高司令官総司令部GHQ)の民主化政策の一環として来日したアメリカ教育使節団の勧告により政府は表記の簡易化を決定、「歴史的仮名遣」は古典を除いて公教育から姿を消し、「現代かなづかい」が公示され、ほぼ同時期にローマ字教育が始まった。以来、この新しい仮名遣である「現代かなづかい」(新仮名遣、新かな)に対して歴史的仮名遣は旧仮名遣(旧かな)と呼ばれる様になった。さらに昭和61年(1986年)、「現代かなづかい」は「現代仮名遣い」に修正される。

なお、漢字制限も同時になされ、当用漢字(現・常用漢字)の範囲内での表記が推奨され、「まぜ書き」や「表外字の置換え」と呼ばれる新たな表記法が誕生した。当用漢字以後は人名用漢字が司法省(法務省)により定められ、漢字制限はJISも含めて混沌としたものとなっている。歴史的仮名遣論者では多く漢字制限にも反発することが多い。福田恆存などは、全ては国字ローマ字化のためである、漢字制限に際しては改革案がCIEの担当官ハルビンによって「伝統的な文字の改変は熟慮を要する」と一蹴されたにもかかわらず断行した、と糾弾している。

歴史的仮名遣論者からも字音仮名遣に対しては批判があがることがあり、字音仮名遣と歴史的仮名遣に対する立場は一様ではない。




https://ja.wikipedia.org/wiki/歴史的仮名遣




















by mantaiya | 2016-01-21 07:40 | 思想 | Comments(0)


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