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六角柳と椿(白玉)

年頭に、無事を祈り、變はらぬことを喜ぶ。
柳に圓を結んで、めでたし、めでたし
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掛け軸は「春入千林處々鶯」(卽中齋筆)
表千家では、初釜には必ず宗旦筆が掛けられます。
伏見人形と



正月といへば、柳、それも結び柳です。引き切りの靑竹の花入れに、六角柳の枝でぐるりと輪を作り、床にひきづるやうに流す―――大垂(おおた)れとも言ひ、なかなか氣持ちが引き締まるいいものです。
柳は、冬には最後まで葉をつけてをり、春は他の木に先驅けて新芽を吹き出す。それだけ生命力の强い木なのですね。その柳を活けるのは、變はらず細く長く丈夫に、といふ氣持ち。結ぶのは、圓を描いて戾つてくるといふことから、旅立ちの無事を祈る中國の故事にちなんでのことだと言はれます。
每年、ある方の初釜に伺ふのですが、いつでも同じ結び柳、同じ掛け軸です。初めは「また、同じもの」と思つたものですが、しだいに感じ方が變はつてきた。
「あ、今年もまた、この掛け軸をみることができた。あの方にお目に掛かることができた」いわば、變はらないことの喜び、また會へたことの幸せ―――。每年同じことを繰り返すことの大切さが、私自身、年をとるほどにわかつてきたんですね。
面白いのは、同じものでも、每年見るたびに新しい發見があることでせう。同じ椿でも、種類が違ふ。置物も違ふ。見る風景が違へば、漂つてゐる空氣も違ふ。自分の氣持ちが違ふし、體調も違ふ。それでも、また出會へたことを喜び合ふ―――。それが節目、といふものなんです。

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根〆(ねじ)めは紅白の椿。品のいい白玉に、「春は曙」、初春の喜びを感じさせる曙に。掛け軸は、いつも私の初釜で掛けるものです。
本當はあれもこれもしたいと思はないことはないけれど、そこはぐつと抑へて。

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栗﨑 曻の「花の教科書」より



















by mantaiya | 2017-01-02 19:27 | Comments(0)


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